
全くノウハウがない、分からない状態で受けなきゃいけなくて、すごい不安
大阪府立大手前高等学校の坂本航志さんは、高校3年生の5月に初めて「総合型選抜」という入試方式の存在を知った。進学フェアでの偶然の出会いから「軽いノリで受けてみるか」と決断し、3ヶ月で志望理由書を書き上げ、横浜市立大学国際教養学部の総合型選抜に挑んだ。書類審査は通過した。しかし面接で、坂本さんは静かに圧倒された。
待合室には既卒者がいた。社会人経験を持つ受験生がいた。「大学で研究した内容を別の大学で継続したい」という、すでに大学レベルの研究を終えた人間がいた。高校3年生が3ヶ月で準備した研究と、何年もかけて積み上げてきた研究の差は、圧倒的だった。結果は面接不合格。その後の一般入試で法政大学・中央大学・立教大学の3大学に合格したが、総合型選抜の失敗体験は坂本さんの中に深く刻まれた。
現在、法政大学法学部国際政治学科4年生として台湾研究を継続し、大学院進学を目指している坂本さんは、こう言い切る。「絶対総合型だったなと思いますね」。落ちた側の人間が、なぜそう確信するのか。
この記事は合格体験記ではない。総合型選抜に落ちた当事者が、落ちたからこそ見えた「この入試の本当の難しさ」を正直に語る記録だ。「高3の5月スタートで何が足りなかったか」「面接会場で何を見たか」「一般入試とは何が根本的に違うのか」——合格者には語れない本音を、坂本さんの言葉で届ける。
この記事でわかること
- 偏差値72の進学校で落ちこぼれた高校生が「高3の5月スタート」で総合型選抜に挑み、一次通過・面接不合格になったリアルな失敗体験と、その失敗から学んだ総合型選抜の本当の難しさ
- 面接会場で見た既卒者・社会人経験者との圧倒的な研究レベルの差——「3ヶ月で太刀打ちできる入試ではなかった」という落ちた側だからこそ語れる総合型選抜の実態
- 一般入試と総合型選抜が「全く別の試験」である理由と、総合型選抜で失敗しないために高校何年生からどう準備すべきかの具体的なアドバイス
- 総合型選抜に落ちた当事者が「絶対総合型だったなと思う」と語る理由——失敗体験があるからこそ見える、この入試の正しい受け方
こんな人におすすめ
- 総合型選抜に興味はあるが「今から間に合うか」「自分の準備は十分か」と不安を感じている高校生・保護者
- 進学校に通っていて「総合型選抜は邪道」という空気の中、一人で受験を検討している高校生
- 総合型選抜で面接不合格・書類落ちを経験し、次にどう動けばよいか迷っている受験生
- 総合型選抜と一般入試の違いや難易度を、合格者ではなく「失敗者の本音」で知りたい受験生・保護者
合格のポイント(失敗から学んだ教訓)
総合型選抜は「研究の蓄積」が問われる入試だった
書類審査は通過できたが、面接会場には何年も研究を積み上げた既卒者・社会人が揃っていた。3ヶ月の準備では研究の深さが根本的に足りなかった。高3の5月スタートは遅すぎる。
早く始めて専門的サポートを得ることが最大の差になる
学校にノウハウがなく、塾にも断られた情報孤立の状態で挑んだことが致命的だった。正しいサポートと早期スタートがあれば、台湾研究という独自テーマは総合型選抜の強力な武器になり得た。
一般入試と総合型選抜は評価する「能力」が根本的に違う
一般入試が「その時点の学力」を問うのに対し、総合型選抜は「積み上げてきた研究と人生の文脈」を問う。この違いを理解せず、一般入試の感覚で臨んだことが失敗の根本原因だった。
ー合格者プロフィールー
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 坂本 航志 |
| 氏名(ひらがな) | さかもと こうし |
| 合格大学・学部 | 法政大学 法学部 国際政治学科(一般入試) |
| 入試方式 | 一般入試(総合型選抜:一次通過・面接不合格) |
| 出身高校 | 大阪府立大手前高等学校(公立・文系) |
| 出身校の文理区分 | 文系 |
| 部活 | 軽音楽部(週3回) |
| 総合型選抜開始時期 | 高校3年生5月(受験日から半年未満) |
| 併願 | 総合型選抜+一般入試(法政大・中央大・立教大・横浜市立大) |
| 塾 | 利用 |
| 英検取得状況 | 準1級 |
| 主な活動 | 台湾研究(課題探究プログラム)・横浜中華街の台湾系華僑調査・軽音楽部 |
| 受験対策 | 志望理由書(横浜在住台湾系中国人テーマ)・オンライン塾面接対策数回・担任との面接練習 |
| 総合型選抜結果 | 横浜市立大学国際教養学部:一次通過・面接不合格 |
| 現在の状況 | 法政大学法学部国際政治学科4年生・台湾研究継続・大学院進学予定 |
偏差値72の進学校で落ちこぼれた
――国公立を諦め、台湾研究だけを武器にした高校生活
大阪府立大手前高等学校は、周囲が大阪大学・京都大学を目指す進学校だ。高校1年生から受験勉強が本格化し、文系でも理系科目を詰め込む環境の中で、坂本さんは高校数学に完全につまずいた。課題の量は提出できないほどで、授業についていけない日々が続いた。「落ちこぼれていた子は僕以外もいましたし、僕は結構一番ひどかった方」という言葉が、当時の状況を正直に語っている。
国公立大学受験には数学が必須だ。高校1年の段階で、坂本さんは静かに国公立を諦めた。阪大・京大を目指す同級生たちの中で、私立大学3教科受験を選ぶことは、進学校では暗黙の「脱落」を意味していた。「とにかく勉強勉強」という環境で、自分のやりたい勉強ができないもどかしさが積み重なっていった。コロナ禍の閉塞感も重なり、「やめようかなって何回も思いましたけど」という状態が3年間続いた。
それでも踏みとどまらせたものが一つあった。中学2〜3年生の時に訪れた台湾への疑問だ。「なんでこんな中国っぽいんだろう」という素朴な問いが、高校2年生の課題探究プログラムで研究テーマへと発展し、横浜在住の台湾系中国人という国内調査へと深まっていった。数学もできない、成績も悪い、でも台湾のことなら3時間でも話せる——それが坂本さんの唯一の武器だった。そしてその武器が、後の総合型選抜挑戦の根拠になる。
「本当によく卒業したなって言われました」
――詰め込み式教育に押しつぶされかけた3年間
「泣きながらよく勉強してました」。この言葉に、進学校での3年間が凝縮されている。やりたい勉強ではなく、課題をこなすための勉強。好奇心ではなく、義務に追われる毎日。担任の先生に「本当によく卒業したな」と言われるほどの状況の中でも、英語だけは「スタートがみんな一緒だから」と集中し続け、英検準1級を取得した。軽音楽部の週3回の練習が、唯一の息の抜き場だった。この苦しかった3年間が後に坂本さんに「高校って狭いんですよ」という確信を与え、受験生へのメッセージの根拠になる。
高3の5月、「軽いノリ」で飛び込んだ総合型選抜
――情報ゼロ・孤独・3ヶ月の準備
高校3年生の5月。大学進学フェアで横浜市立大学のブースに立ち寄った坂本さんは、「総合型選抜もありますよ」という一言を初めて聞いた。「本当にもう何ていうんですか?発想にも至らなかった」。進学校では総合型選抜は「邪道」扱いで、周りに受験する人間は誰もいなかった。英検準1級を持っていれば受験条件をクリアできると分かり、「軽いノリで受けてみるか」という等身大の決断をした。
しかしその「軽いノリ」という言葉が、後の失敗の構造を全て説明することになる。塾を探した。「遅すぎる」「1年前から準備するものだ」と断られた。学校の先生にはノウハウがない。情報がブラックボックスの状態で、「不安ですらない、もうやるしかないなみたいな感じで」という覚悟だけで準備を始めた。
志望理由書は、高校2年生から続けてきた台湾研究を軸に書いた。コロナで渡航できないため横浜中華街の台湾系中国人という国内研究に落とし込んだテーマは、独自性があった。担任の国語科の先生に文章添削を頼み、オンライン塾で数回の面接練習を行い、8月の出願締切に何とか間に合わせた。書類審査は通過した。この時点では、坂本さんはまだ「いけるかもしれない」と思っていた。
「不安ですらない、もうやるしかない」
――情報ゼロで書いた志望理由書の中身
3ヶ月という短期間で完成させた志望理由書が書類審査を通過した事実は、テーマの独自性が評価された証拠だ。横浜在住の台湾系中国人という視点は、高校2年生から積み上げてきた探究活動の産物だった。しかしここに、後に判明する落とし穴が潜んでいた。書類審査は「テーマの独自性と研究の方向性」を問うが、面接は「研究の深さと具体性」を問う。書類を通過したことで「準備は十分だ」と錯覚してしまったことが、面接での敗因の一つになった。
書類は通過した。そして面接会場で、総合型選抜の「本当の世界」を初めて見た
面接当日。会場に向かいながら、坂本さんにはある程度の自信があった。書類は通った。台湾研究というテーマは独自性がある。担任の先生と練習も重ねた。しかし待合室に入った瞬間、その感覚が揺らいだ。
周囲の受験生が、明らかに違った。まず年齢層が異なっていた。明らかに高校生ではない受験生がいた。既卒者だ。社会人経験を経て、改めて大学に挑戦しようとしている人間がいた。さらに驚いたのは、「大学で研究した内容を別の大学で継続したい」という受験生の存在だった。すでに大学レベルの研究を終え、その研究を深めるために別の大学の総合型選抜を受験している。高校生の坂本さんとは、研究の蓄積の次元が根本的に違った。
「準備不足」という言葉では足りなかった。3ヶ月で積み上げた研究と、何年もかけて深めてきた研究は、面接という場では取り返しのつかない差として現れた。面接官が問うのは、志望理由書に書かれた内容の背景にある「研究の深さ」だ。「なぜこのテーマを選んだのか」「先行研究との違いは何か」「大学でどの教授のどの研究と接続させたいのか」——こうした問いに、3ヶ月の準備では答えに深みが出ない。結果は面接不合格。坂本さんは静かに、自分の準備の限界を受け入れた。
「準備不足ではなく、研究の深さが違った」
――落ちて初めてわかった総合型選抜の本質
面接不合格という結果を受け止め、坂本さんは冷静に失敗を分析した。志望理由書が通ったことで「テーマの方向性は正しかった」とわかった。しかし問題は深さだった。総合型選抜の面接は、受験生が「この大学でこの研究をするにふさわしい人間か」を判断する場だ。そのためには、研究テーマを何年もかけて深め、先行研究を読み込み、大学の教授陣の研究との接続まで具体的に語れる水準が必要だった。「軽いノリ」で3ヶ月準備した高校生が、その水準に達することは、構造的に難しかった。落ちたからこそ、総合型選抜の本質が見えた。
総合型選抜と一般入試は「全く別の試験」だった
――落ちた側が語る2つの入試の根本的な違い
一般入試と総合型選抜は、評価する「能力」が根本的に異なる。一般入試が「その時点の学力」を問うのに対し、総合型選抜は「積み上げてきた研究と人生の文脈」を問う。この違いを正確に理解せずに臨んだことが、坂本さんの失敗の根本原因だった。
一般入試は、3ヶ月本気で勉強すれば偏差値が大きく動くことがある。しかし総合型選抜の「研究の深さ」は、3ヶ月では積み上げられない。探究テーマを持ち、調査を重ね、先行研究を読み、自分の問いを深化させていく——この蓄積には、最低でも1〜2年のプロセスが必要だ。大手塾が「1年前から準備するものだ」と言ったのは、この理由からだ。
坂本さんが面接会場で見た既卒者や研究経験者との差は、努力の量の差ではなく、時間の差だった。3ヶ月と2年では、どれだけ頑張っても埋まらない差がある。「全くノウハウがない、分からない状態で受けなきゃいけなくて、すごい不安」という言葉の裏には、情報と時間と専門的サポートの全てが足りていなかったという現実がある。
「高3の5月から始めるのは、はっきり言って厳しい」
――推奨しない対策方法の全記録
坂本さんの経験から導き出される「やってはいけない総合型選抜の受け方」は明確だ。第一に、高校3年生になってから対策を始めること。研究の深さが問われる面接では、3ヶ月の準備では構造的に限界がある。第二に、競合する受験生のレベルを把握しないまま受験すること。総合型選抜の面接には既卒者や社会人経験者も参加する場合があり、「高校生同士の競争」だという思い込みは危険だ。第三に、専門的なサポートなしで挑戦すること。学校にノウハウがなく、塾にも断られた状態での受験は、戦略のない挑戦に等しい。坂本さんが経験したこれらの失敗は、後から受験する人間が避けられる失敗だ。
それでも「絶対総合型だったなと思う」
――落ちた経験があるから言える、この入試の正しい受け方
一般入試で3大学に合格し、法政大学で4年間台湾研究を深めてきた今、坂本さんには一つの確信がある。「絶対総合型だったなと思いますね」。落ちた側の人間が、なぜそう断言するのか。
答えは大学での経験にある。自分が大学に入って輝いた場所は、偏差値や学力が問われる場所ではなかった。台湾研究への情熱、多文化アイデンティティへの問い、中国語を学んで現地で会話できるようになった行動力——これらは全て、総合型選抜が最も正確に評価できる要素だ。「高校の勉強が優秀な人と、大学の勉強が優秀な人って、結構違う」という言葉は、自分の体験から生まれた確信だ。
では何が足りなかったのか。タイミングと準備の深さだ。高校2年生から始めた台湾研究を、もし高校1年生から意識的に深め、横浜中華街への調査を複数回重ね、先行研究を読み込み、専門的なサポートのもとで志望理由書を磨いていたら——坂本さんは「それができていたら、全然違う結果だったと思う」と語る。武器はあった。磨く時間と方法が足りなかった。
「高2の段階でこの塾に出会っていたら」
――もし正しく準備できていたら何が変わったか
坂本さんが持っていた武器を整理すると、英検準1級という語学力、台湾研究という独自の探究テーマ、多文化アイデンティティへの問題意識、中国語習得への行動力——これらは全て、総合型選抜で高く評価される要素だ。書類審査を通過したことが、その証拠でもある。足りなかったのは「研究の深さ」と「戦略的な準備期間」だけだった。高校2年生の段階で専門的な指導のもとで台湾研究を体系的に深め、志望校の研究室や教授陣との接続を意識した探究活動ができていれば、面接で同席した既卒者・社会人経験者との差は、大幅に縮まっていた可能性がある。総合型選抜で勝つための答えは、早く始め、深く掘り、正しいサポートを得ること——それだけだ。
法政大学4年生から受験生へ
――「高校って狭いんですよ」という言葉の本当の意味
「まずは自分のしたいことをやりましょう。これ、大事です」。坂本さんがこの言葉を言うとき、その重さは合格体験記の合格者とは全く違う意味を持つ。泣きながら勉強した3年間、軽いノリで挑んで面接で落ちた体験、一般入試で3大学に合格した後に大学で初めて「学問の楽しさ」を見つけた経験——そのすべてを経た人間の言葉だからだ。
進学校にいる高校生へのメッセージは明確だ。「高校って狭いんですよ」。国公立至上主義の空気、総合型選抜は邪道という文化、偏差値でしか人を測らない環境——その全ては、高校という狭い世界の中だけで通用する常識だ。「偏差値が高い、低いっていうのは関係なくて、自分の考えをちゃんと持てる人」が大学で輝く。その事実を、坂本さんは自分の失敗と成功の両方を通じて知っている。
保護者へのメッセージも同様だ。子どもの好奇心に向き合うこと。やりたいことが見つかったら、早い段階でそれを深める環境を作ること。「コロナも終わっちゃいましたから、なんでもできますから」。今の高校生には、坂本さんが高校時代に持てなかったあらゆる可能性がある。総合型選抜という選択肢も、その一つだ。だからこそ、早く始めてほしい。深く準備してほしい。正しいサポートを得てほしい。落ちた側の人間の、それが偽らざる願いだ。
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塾長
京都大学 経済学部 経済経営学科卒
東大寺学園高等学校卒。
総合型選抜(AO入試)にて京都大学経済学部に現役合格。
高校時代は生徒会長として学校運営に携わる。
知性を競う全国放送のクイズ番組「Qさま!!」出演。
総合型選抜は、単なる「AO 入試」ではなく、あなたの人生経験すべてが評価される、最も公平な入試形式です。逆転合格の扉は、あなたにも開かれています。
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